政策要望
平成28年度 政策要望
我が国の森林資源は、戦後造林された森林を中心に本格的な主伐の時期を迎えようとしており、豊富な森林資源の循環利用により、山村社会の創生や地球温暖化防止に貢献することが期待されています。
しかしながら、我が国の人工林は、若齢林分が極端に少ないという齢級構成にあり、このまま推移すれば、持続可能な森林経営や地球温暖化防止、国土保全等の森林の公益的機能の発揮に支障が生じる恐れがあります。
一方、政府の強力な経済政策のもとで日本経済に回復の兆しが見られる中で木材自給率は上昇傾向にあるものの、木材価格は依然として低迷しており、森林・林業の飛躍を期待できる状況には至っておりません。
こうした森林・林業を取り巻く厳しい状況の下で大筋合意がなされたTPP協定の国内林業への影響も懸念されております。
また、多発する地震やゲリラ豪雨による災害は、安全・安心な国土基盤づくりについての再認識と災害対策の着実な実施等の対応を迫っております。
こうした状況を踏まえ、「林業の成長産業化のための国及び地方における安定的財源の確保と地球温暖化防止及びTPP協定関連国内林業対策に向けた財源措置等の実施」、「持続可能な森林経営の実現と次世代林業基盤の確立」、「安全・安心な国土基盤の確立」のための森林政策を国政上の喫緊の課題とし、森林整備施策の充実と安定的財源の確保を図るとともに、特に下記の事項を実現するよう強く要望します。
1 林業の成長産業化のための国及び地方における安定的財源の確保と地球温暖化防止及びTPP政策大綱関連国内林業対策に向けた財源措置等の実施
具体的には、
(1)林業の成長産業化のための国及び地方における安定財源の確保を図ること
① 本格的な利用期を迎える森林の主伐・再造林に必要な予算の確保
② 起債措置や特別交付税措置等による地方負担の軽減対策の充実
③ 林地台帳整備等に係る市町村の森林・林業行政への支援の強化
(2)森林環境税の早期創設等による地球温暖化防止のための森林整備に必要な財源措置を講じること
(3)TPP政策大綱関連国内林業対策に必要な予算を確保すること
を要望申し上げます。
2 持続可能な森林経営の実現と次世代林業基盤の確立
(1)持続可能な森林経営の実現を図ること
具体的には、
① 持続可能な森林経営の実現のための主伐・再造林を一体的に推進する支援の強化
② 弱体化している種苗生産体制の再構築、特にコンテナ苗等優良種苗生産体制の整備の促進
③ 伐木造材分野の機械化に比べて大きく遅れている植え付けや下刈り等の機械開発・実証等の取組の強化
④ 人工林、特に再造林地における獣害対策の強化と気象被害や山火事から森林を守る森林保険の加入促進
(2)次世代林業基盤の確立のための施策の強化を図ること
具体的には、
① 原木供給体制の整備等の林業・林産業全体に亘る次世代林業基盤整備の促進
② 木材や木質バイオマスの需要拡大対策の強化と需要動向に合わせた安定的価格による供給を可能とするサプライチェーン構築への支援
を要望申し上げます。
3 安心・安全な国土基盤の確立
(1)被災地の復興と国土基盤としての海岸防災林等の森林整備の促進を図ること
具体的には、
① 地震や集中豪雨等により被災した森林の復旧・整備の促進
② 事前防災・減災対策としての里山林等集落周辺森林整備の促進
を要望申し上げます。
(2)森林・林業に係る原発事故対策の促進を図ること
具体的には、
① 原発事故被害森林の再生のための森林整備や間伐材等未利用木材のエネルギー利用の推進
② 森林及び関連施設等の除染処理の促進
を要望申し上げます。