政策要望
平成25年度 政策要望
安全・安心の国土基盤の形成や木材資源の供給を通じて国民生活、特に山村社会の維持発展に貢献してきております。
政府の強力な経済対策のもとで日本経済に回復の兆しはみられるものの、木材価格は依然として低迷しており、森林・林業の飛躍を期待できる状況には至っておりません。
一方、去る11月15日に政府の地球温暖化対策本部が決定した新たな温室効果ガス削減目標3.8%の4分の3は、間伐等による森林吸収が占めており、そのために必要な年間52万ヘクタールの間伐実施は、我が国において絶対に達成しなければならない必要不可欠な政策となりました。
こうした状況の下で現場の森林整備意欲を喚起し、森林・林業の着実な発展と更なる飛躍を実現するためには、生産基盤としての路網整備や間伐等の森林整備対策の強化はもとより、木材価格の安定化のための国産材の需要拡大対策が早急に講じられることが望まれます。
また、再生可能エネルギー固定価格買取制度が実施に移されるなど、間伐材等未利用木材のエネルギー利用の新たな展望が開かれようとしており、未利用 木材のエネルギー利用を加速化する施策の充実が望まれます。
更に、国土強靱化を図るための森林荒廃防止に向けて、シカ等による森林の食害対策を徹底し、国民共通の社会資本である森林をしっかりと保全することが必要です。
また、平成23年3月に発生した東日本大震災は、安全・安心の国土基盤づくりや安全なエネルギーについての再認識と復興支援対策の迅速な実施等の対応を迫っております。
こうした状況を踏まえ、「森林・林業の飛躍と国産材の需要拡大」、「安全・安心の国土・エネルギー基盤の確立」を森林政策の国政上の喫緊の課題とし、財源の確保を図るとともに、以下施策の実現を強く要望いたします。
1 「森林・林業の飛躍」と「国産材の需要拡大」のための施策の拡充・強化
2 「被災地の復興」と「安全・安心の国土・エネルギー基盤の確立」のための施策の推進
なお、その際には以下の事項についてご配慮いただきますよう併せて要望申し上げます。
1 「森林・林業の飛躍」と「国産材の需要拡大対策」の拡充・強化
(1)森林・林業の飛躍ための森林整備施策の拡充強化を図ること
具体的には、
① 地球温暖化防止に貢献する間伐及び皆伐・再造林に対する支援の強
化
② 国土強靱化に向けた鳥獣害対策に対する支援の強化
③ 持続可能な森林経営の確立のための定額助成による路網整備や森林整備の推進
④ 奥地森林や急傾斜地等条件不利地域に対する支援の強化
⑤ 現場を支える人材育成のための研修と定着化促進のための就労条件の改善対策の充実
を要望申し上げます。
加えて、森林整備加速化・林業再生事業の平成26年度末までとなっている実施期間の延長を図るとともに、平成25年度の補正予算の編成に当たっては、森林整備加速化・林業再生基金予算の増額及び地球温暖化防止や国土強靱化の推進に必要な予算の確保について要望申し上げます。
(2)木材価格の安定化に向けた間伐材を始めとする国産材需要拡大と需要動向に併せた供給体制の整備を図ること
具体的には、
① 公共建築物や住宅等民間木造施設への木材利用の推進や合法木材の利用拡大対策の強化
② 地域の需給動向に合わせた供給を可能とする集出荷体制の整備による木材価格の安定化対策の推進
③ 間伐材等の木質バイオマスのエネルギー利用拡大対策の加速化
④ バイオコークス、バイオエタノール等のエネルギー利用技術の実用
化や発電・熱併給システムの実用化の加速化
を要望申し上げます。
加えて、TPP交渉の進展状況を踏まえた国内林業に配慮した適切な措置の実施及び木材利用ポイン
トの取組に対する支援の強化を要望申し上げます。
2 「被災地の復興」と「安全・安心の国土・エネルギー基盤」の確立
(1)被災地の復興と安全・安心の国土基盤としての海岸防災林等の森林整備の促進を図ること
具体的には、
① 被災地の復興に必要な木材の全国規模での供給体制の整備
② 安全・安心の国土基盤としての海岸防災林等の森林整備の推進
を要望申し上げます。
(2)森林・林業に係る原発事故による放射性物質対策の確立とその推進を図ること
具体的には、
① 森林および木材における放射線量検査と除染処理対策の迅速な実施
② 政府による損害賠償交渉支援等原発事故による森林・林業被害対策の推進
③ 原発事故被害森林の再生のための間伐材等未利用木材のエネルギー利用の推進